クロマグロの廃棄内臓を利用した消化態大豆粕の効果

 

魚類養殖が盛んになる中、養魚飼料は、魚粉価格の高騰から低魚粉化・無魚粉化が必須となっています。

魚粉代替原料の一つに大豆粕がありますが、飼料への大幅な利用は嗜好性の低下や成⻑不良を引き起こす場合があります。そこで捨てられているクロマグロ内臓から取り出した消化酵素であらかじめ消化した消化態大豆粕(pre-digested soybean meal, PDSBM)の魚粉代替原料としての有効性を検討しました。

出荷時に廃棄されたクロマグロの胃や幽門垂から粗酵素液を作成し、大豆粕を消化してPDSBMを作成しました。 PDSBMは醤油と甲殻類が混じり合ったようなにおいでした。PDSBMを約 80%含むペレットを作成してサケに与えたところ、大豆粕より速やかに摂取したので、酵素消化による摂餌性改善が確認できました。さらにPDSBMで魚粉を置換した飼料を作成してヒラメおよび クロソイに給餌したところ、大豆粕の酵素消化による成⻑効率改善が確認されました。

大豆粕と PDSBMの臭気成分を比較すると、ピラジン類が増加しており、魚類の摂餌性の向上には、ピラジン類が寄与することが推測されました。そこで精製トリプシンを作用させた大豆粕とピラジン類の量を比較した結果、クロマグロ幽門垂の粗酵素を作用させた大豆粕の方がピラジン類の発生量が多くなっていました。さらに、ピラジン標品を無処理の大豆粕に添加することで魚類の摂餌性が向上しました。したがって、大豆粕に廃棄内臓由来の粗酵素を作用させて作成したPDSBM は、プロテアーゼによる分解とピラジン類の増加による効果により、魚類の摂餌性が向上すると考えられました。

 

関連論文 木原 稔(2018)大豆たん白質研究 21, 51-64 

 

取得特許 特許第6721755号􏰪􏲝􏱐􏰋􏲋􏰈􏲊􏰍

東海大学

生物学部 海洋生物科学科

木原 研究室

 

 

Laboratory of Animal Nutrition and Digestive Physiology

Department of Marine Biology and Sciences

School of Biological Sciences

Tokai University

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